「会員制サイト」と聞くと、有料会員だけが閲覧できるサイトや、会費を支払って利用するサービスをイメージするかもしれません。 しかし、会員制サービスの仕組みは、それだけに限られるものではありません。
ユーザーが登録を行い、ID・パスワード、メールアドレス、外部アカウント等によって識別され、そのユーザーに対して継続的にサービスが提供される仕組みは、従来の「会員制サイト」と共通する構造を持っています。
現在では、このようなサービスはWebサービス、SaaS、クラウドサービス、スマートフォンアプリ、サブスクリプションサービス、マッチングサービス、プラットフォームなど、さまざまな名称で呼ばれています。
すでに会員規約・利用規約を作成している場合や、ChatGPTなどの生成AI・テンプレートを利用して原案を作成した場合には、会員登録、料金・プラン変更、退会・解約、アカウント削除、データ処理など実際のサービス仕様と規約内容が一致しているかをチェックし、必要に応じて修正することも重要です。
このページでいう「会員制サービス」
このページでは、有料会員制サービスだけでなく、ユーザー登録やアカウントを通じて利用者を識別・管理し、継続的にサービスを提供する仕組みを持つサービスを広く取り上げています。
この記事で分かること
- 会員制サービスに利用規約が必要な理由
- 会員登録から退会・アカウント削除までの設計
- 料金・プラン変更・自動更新などの注意点
- SaaS・アプリなどサービス形態ごとの考え方
- 会員規約を作成・見直す際の重要ポイント
- 会員制サイト・会員制サービスとは?
- SaaS・Webサービス・アプリも「会員制サービス」?
- 会員規約と利用規約の違い
- 「会員」「登録ユーザー」など利用者の定義
- 会員制サービスに利用規約が必要な理由
- 初心者向け|会員登録から退会までの全体像
- 会員登録と利用契約はいつ成立する?
- ID・パスワード・アカウント管理
- 複数アカウント・外部ログイン・休眠アカウント
- 会員資格・利用資格をどう定める?
- 無料会員・有料会員・利用プラン
- 会費・月額料金・サブスクリプション
- プラン変更・決済失敗・無料体験
- 退会・アカウント削除
- 退会方法とUI・システム設計の注意点
- 退会後のデータ・投稿・ポイント等の処理
- 強制退会・利用停止・会員資格の取消し
- アカウントの譲渡・貸与・第三者利用
- 禁止事項はサービスごとに設計する
- ポイント・クーポン・会員特典
- 会員への通知・登録情報の変更
- 会員規約を変更するときの注意点
- 利用規約・個別規約・料金ページの役割分担
- サービス終了時に決めておくこと
- 個人情報とプライバシーポリシー
- 利用規約を英訳する場合の注意点
- 会員制サービスの種類別|関連する専門ガイド
- 会員規約作成前チェックリスト
- よくある質問
会員制サイト・会員制サービスとは?
「会員制サービス」という言葉について、すべてのサービスに共通する法律上の定義があるわけではありません。
一般には、利用者が会員登録等を行い、登録された利用者に対して継続的にサービスや機能を提供する仕組みを持つサービスについて、「会員制サイト」「会員制サービス」などの言葉が使われています。
たとえば、次のようなサービスです。
- ID・パスワード等でログインして利用するWebサービス
- ユーザー登録を行って利用するスマートフォンアプリ
- 月額料金等を支払って利用するSaaS・クラウドサービス
- 無料会員と有料会員が存在するサービス
- 会員限定コンテンツを提供するWebサイト
- オンラインコミュニティ
- マッチングサービス
- ECサイトの会員サービス
- 店舗・ホテル・施設等の会員サービス
- ポイント・会員証機能を提供するサービス
したがって、「会費を支払うサービスでなければ会員制サービスではない」というわけではありません。
無料で利用できるサービスであっても、ユーザー登録を行い、アカウントによってユーザーを識別・管理するのであれば、会員制サービスと共通する規約設計が必要になることがあります。
SaaS・Webサービス・アプリも「会員制サービス」?
現在では、インターネットを通じて提供されるサービスについて、「Webサービス」「SaaS」「クラウドサービス」「アプリ」「プラットフォーム」など、サービスの提供方法や特徴に応じたさまざまな名称が使われています。
しかし、利用規約を設計する側から見ると、これらのサービスには共通する仕組みがあります。
たとえばSaaSであっても、法人や個人がユーザー登録をし、アカウントを取得してログインし、契約期間中サービスを利用し、解約によって利用資格を失うという仕組みを採用することがあります。
これは従来から会員制サイトで問題となってきた、
という構造とよく似ています。
DAN行政書士事務所では、現在のように「SaaS」や「クラウドサービス」という言葉が一般的になる以前から、ID・パスワード等によって利用者を識別し、登録ユーザーに継続的にサービスを提供するWebサイトについて、会員登録、ID等の管理、会員資格、退会、禁止事項、利用停止等を中心とした利用規約・会員規約の作成を取り扱ってきました。サービスの呼び方や認証方法が変わっても、ユーザーとの契約関係を規約によって整理するという基本的な考え方は変わりません。
そのため、このページでは「会員制」という言葉を、昔ながらの有料会員サイトだけに限定せず、アカウント等を通じて利用者を識別・管理する現代のオンラインサービスにも共通する仕組みとして捉えています。
会員規約と利用規約の違い
「会員規約」と「利用規約」は、名称だけで明確に区別できるものではありません。
| 名称 | よく使われる場面 |
|---|---|
| 会員規約 | 会員登録、会員資格、会費、退会等を中心とするサービス |
| 利用規約 | Webサービス、アプリ等で広く使用される名称 |
| サービス利用規約 | SaaS、クラウドサービス、BtoBサービス等 |
重要なのは名称ではなく、そのサービスに必要な契約条件が実際のサービス内容に合わせて定められているかです。
したがって、「会員制サービスだから必ず『会員規約』という名称にしなければならない」というものではありません。
「会員」「登録ユーザー」など、利用者の定義によって規約の用語も変わる
会員制サービスの利用規約を作成する際には、最初にサービスの利用者をどのような名称で定義するかを決めます。
たとえば利用者を「会員」と定義する場合には、その後の条文も、
- サービスの利用を終了する手続き → 「退会」
- 規約違反等に対する処分 → 「強制退会」
- サービスを利用できる地位 → 「会員資格」
といった用語で整理するのが自然です。
一方、利用者を「登録ユーザー」と定義するのであれば、
- サービスの利用を終了する手続き → 「ユーザー登録の抹消(削除)」
- 規約違反等に対する処分 → 「ユーザー登録の強制削除」
- サービスを利用できる状態 → 「ユーザー登録」や「利用資格」
といった表現の方が、規約全体として整合しやすくなります。
| 利用者の定義 | 自主的な利用終了 | 運営者による処分 | 利用できる地位 |
|---|---|---|---|
| 会員 | 退会 | 強制退会 | 会員資格 |
| 登録ユーザー | ユーザー登録の抹消・削除 | ユーザー登録の強制削除 | 利用資格・ユーザー登録 |
| ユーザー | 利用終了・アカウント削除 | 利用停止・アカウント削除 | 利用資格 |
「会員」という言葉を使わないこともあります
仕組みとしては典型的な会員制サービスであっても、利用規約上あえて「会員」という言葉を使用しないこともあります。
実際に当事務所で利用規約を作成した際、お客様から「『会員』という言葉だと、何かの団体に加入するような印象があって、サービスのイメージに合わない」というご意見をいただいたことがあります。
WebサービスやSaaS、アプリなどでは、サービスを利用するためにアカウントを作成するだけで、利用者自身には「何かに入会した」という意識がほとんどないこともあります。
そのようなサービスでは、「会員」ではなく「ユーザー」「登録ユーザー」「利用者」などと定義した方が、実際のサービスや画面上の表現にもなじみます。
「会員制」はサービスの仕組みを説明するための一つの捉え方です。実際の利用規約では、サービスの内容、ユーザーが受ける印象、アプリやWebサイト上で使われている言葉などを踏まえて、最も自然な呼称を選択します。
重要なのは「会員」「ユーザー」のどちらを使うかではなく、最初に定義した用語に合わせて、登録、利用、退会、利用停止、契約終了等の表現を規約全体で統一することです。
たとえば、冒頭では「登録ユーザー」と定義しているのに、後半では突然「会員資格を喪失する」「退会する」と書かれていると、同じ利用者を指しているのか、別の制度なのかが分かりにくくなります。
そのため当事務所では、単に必要な条項を並べるのではなく、サービス内で実際に使われている呼称や画面表示も確認しながら、規約全体の用語を設計します。
会員制サービスに利用規約が必要な理由
すべての会員制サービスについて、法律上「利用規約」という名称の文書を必ず作成しなければならないと一律に定められているわけではありません。
しかし、ユーザー登録やアカウントを前提とするサービスでは、運営中にさまざまな判断が必要になります。
- 虚偽情報で登録したユーザーの利用を停止したい
- ID・パスワードを第三者に貸したユーザーを処分したい
- 月額料金を滞納したユーザーのサービス利用を停止したい
- 料金やプラン内容を変更したい
- 会員限定コンテンツの無断転載を禁止したい
- 複数アカウントの不正取得を禁止したい
- 退会後にユーザーデータを削除したい
- ポイント制度や会員特典を変更・終了したい
- サービス自体を終了したい
ユーザーがどのような条件でサービスを利用できるのか、運営者がどのような場合に利用を制限できるのか、契約がいつ始まり、いつ終わるのかまで含めて、サービス運営のルールを整理するものです。
生成AIで会員規約を作る場合は、「会員登録から退会後まで」の仕組みを先に整理することが重要です
生成AIは会員規約・利用規約の初案作成に活用できますが、無料会員と有料会員の関係、契約成立時点、プラン変更、決済失敗、退会と解約の違い、アカウント削除後のデータ処理など、実際のサービス仕様を与えなければ一般的な条文になりがちです。特に会員制サービスでは、規約の文章だけでなく登録画面・料金ページ・退会UI・決済システムとの整合まで確認する必要があります。
AI生成の利用規約をそのまま使うリスクを詳しく見る →初心者向け|会員登録から退会までの全体像
会員制サービスの利用規約を初めて作る場合は、条文名を一つずつ考えるより、一人のユーザーがサービスを知ってから利用を終えるまでの流れを追うと理解しやすくなります。
会員規約というと「会員登録の方法を書くもの」と思われがちですが、実際には登録前から退会後までを扱います。誰が登録できるのか、いつ契約が始まるのか、利用中に何をしてはいけないのか、料金はいつ発生するのか、違反した場合はどうなるのか、退会するとデータはどうなるのか――これらを一つの流れとして整理するのが会員制サービスの利用規約です。
会員登録と利用契約はいつ成立する?
会員登録型サービスでは、まず「いつユーザーとの利用契約が成立するのか」を整理する必要があります。
たとえば、サービスによって次のような仕組みが考えられます。
- ユーザーが登録手続きを完了した時点で利用契約が成立する
- ユーザーが利用申込みを行い、運営者がこれを承諾した時点で成立する
- 運営者による登録・審査等が完了し、その旨がユーザーに通知された時点で成立する
- 有料プランへの申込み・決済等が完了した時点で有料サービスの利用契約が成立する
誰でも即時に登録できるサービスと、運営者による審査や本人確認、法人確認等を行ったうえで利用を認めるサービスとでは、適切な契約成立の仕組みも異なります。
「登録完了メールを送信した時点で成立」とする規約には注意
利用規約では、「当社が登録完了メールを送信した時点で利用契約が成立します」といった条項を見かけることがあります。
しかし、当事務所では、このようにメールを「送信した時点」を契約成立時点とする規定は、特段の理由がなければあまりおすすめしていません。
民法では、相手方に対する意思表示は、原則としてその通知が相手方に到達した時から効力を生ずるとされています(民法第97条第1項)。
メールは運営者が送信操作を行ったとしても、メールアドレスの誤入力、受信側のメールサーバーの問題、迷惑メール設定その他の事情によって、ユーザー側に到達していないことがあります。
そのため、「送信した時点」を契約成立時点とすると、ユーザーに登録完了の通知が届いていないにもかかわらず、規約上はすでに契約が成立しているという状態が生じる可能性があります。
登録完了メールを利用契約成立の基準とするのであれば、「送信したとき」と安易に規定するのではなく、民法上の意思表示の到達主義との関係も踏まえて、どの時点を契約成立時点とするのかを検討する必要があります。
実際のサービスでは、登録処理の完了と同時にアカウントが有効化され、ユーザーがすぐにログインしてサービスを利用できる場合もあります。
そのようなサービスであれば、メール送信という技術的な処理だけを基準にするのではなく、登録手続きの完了、運営者による承諾、アカウントの有効化、ユーザーへの通知など、実際のシステム上の処理を確認したうえで契約成立時点を定める方が、サービスの実態にも合わせやすくなります。
会員登録型サービスでは、「申込み → 審査・承諾 → アカウント作成 → 登録完了通知 → 利用開始」のうち、実際にどのような処理が行われているのかを確認し、そのフローと利用規約の内容を一致させることが重要です。
利用規約への同意も登録フローと合わせて設計する
利用規約をWebサイトのどこかに掲載しておくだけではなく、会員登録画面等に利用規約へのリンクを表示し、
といったチェックボックスや同意ボタンを設けるなど、ユーザーが規約の内容を確認したうえで登録手続きを行う仕組みを検討します。
規約の文章だけではなく、実際の会員登録画面・申込画面・登録完了処理と、規約上の契約成立・同意取得の仕組みを一致させることが重要です。
利用規約への同意方法や登録画面での具体的な同意取得については、利用規約への同意のさせ方で詳しく解説しています。
ID・パスワード・アカウント管理
会員制サービスの利用規約で、古くから重要となるのがID・パスワード等の管理です。
現在では、
- メールアドレス+パスワード
- Google等の外部サービスアカウント
- Apple Account等によるログイン
- SMS認証
- ワンタイムパスワード
- パスキー
など、ログイン方法も多様化しています。
認証方法が変わっても、利用規約で考える基本事項には共通点があります。
- アカウントを適切に管理する義務
- 第三者への譲渡・貸与・共有の可否
- 登録された認証情報による利用を本人の利用として扱うか
- 認証情報を紛失・漏洩した場合の対応
- 不正利用が疑われる場合の利用停止
- 登録情報を正確かつ最新に保つ義務
単に「パスワードを他人に教えてはいけません」と定めるだけではなく、アカウントを誰がどの範囲で利用できるのかまで考える必要があります。
複数アカウント・外部ログイン・休眠アカウント
一人で複数アカウントを持てるのか
サービスによっては、一人につき一つのアカウントに限定する場合もあれば、用途別・店舗別・事業別など複数アカウントの保有を認める場合もあります。ここを曖昧にすると、初回特典の重複取得、無料枠の繰り返し利用、利用停止後の再登録などへの対応が難しくなることがあります。
単にアカウントを二つ持つこと自体が問題なのではありません。たとえば「初回登録者だけ500ポイント」というサービスで、同じ人が10個のアカウントを作れば制度の前提が崩れます。禁止するのであれば、サービス上どのような不正を防ぎたいのかまで考えて条項を設計します。
Google・Apple等の外部アカウントでログインする場合
外部サービスを利用したログインでは、ユーザーが外部アカウントを削除した場合や、外部サービスとの連携が利用できなくなった場合に、自社サービスへログインできなくなる可能性があります。代替ログイン方法の有無、連携解除時の扱い、外部サービス側の障害等について、サービス仕様に応じた整理が必要です。
長期間利用されていない「休眠アカウント」をどうするか
長期間ログインや利用がないアカウントを無期限に維持するのか、一定期間経過後に停止・削除できるようにするのかも検討事項です。特に保存データやポイント等が紐づく場合には、削除前の通知、失効する権利、再開の可否なども合わせて考えます。
会員資格・利用資格をどう定める?
サービスによっては、希望者全員の登録を受け付けるのではなく、一定の利用資格を設けることがあります。
- 一定年齢以上であること
- 一定の地域・国に居住していること
- 法人または事業者であること
- 正確な登録情報を提供すること
- 過去に利用停止・強制退会等の処分を受けていないこと
- 反社会的勢力に該当しないこと
ここで注意したいのが、「登録を受け付けない場合」と「登録後に利用資格を失わせる場合」は別の問題だということです。
登録時の審査基準、利用開始後の資格維持、契約解除や利用停止の条件を、それぞれ整理しておく必要があります。
登録拒否と登録後の利用停止は分けて考える
登録申込みの段階で条件を満たしていない人を受け付けないことと、すでに利用契約が成立しているユーザーの利用を停止・終了させることは、規約上の場面が異なります。そのため、登録拒否事由と、利用停止・契約解除事由を別々に整理する方が分かりやすくなります。
未成年者が利用する可能性がある場合
未成年者が利用する可能性のあるサービスでは、年齢制限を設けるのか、法定代理人の同意を求めるのか、年齢確認を行うのかなどをサービスの内容に応じて検討します。特に有料サービスや継続課金がある場合には、登録画面や購入画面を含めた設計との整合が重要です。
サービスの仕組みに合わせた利用規約・会員規約の作成に加え、作成済みの規約やAIで作成した規約のチェック・修正にも対応します。
問い合わせフォームへ ↓無料会員・有料会員・利用プラン
会員制サービスでは、一種類の会員だけではなく、複数の会員区分や利用プランを設けることがあります。
従来であれば「一般会員」「プレミアム会員」といった名称が使われていましたが、現在のWebサービスやSaaSでは、Free、Basic、Standard、Pro、Business、Enterpriseなどのプラン名称が使われることもあります。
名称が違っても、規約上は、
- 利用できる機能
- 利用人数
- 保存容量
- 利用回数
- サポート内容
- 利用料金
- 契約期間
等の違いを整理する必要があります。
料金や機能が頻繁に変更されるサービスでは、利用規約に基本原則を定め、具体的な料金・機能等は料金ページやプランページに定める方法もあります。重要なのは、それぞれの文書の適用関係が分かるようにしておくことです。
会費・月額料金・サブスクリプション
有料の会員制サービスでは、単に「月額○円」と記載するだけではなく、料金に関する契約条件を整理します。
- 利用料金
- 料金の支払時期
- 利用できる期間
- 自動更新の有無
- 更新時期
- 解約方法
- 解約後いつまで利用できるか
- 日割計算の有無
- 既払料金の返金の有無
- 無料体験期間がある場合の取扱い
- 利用料金を変更する場合の取扱い
サブスクリプション型サービスでは、契約開始時だけでなく、更新と解約の仕組みが重要になります。
プラン変更・決済失敗・無料体験をどう扱う?
有料プランから無料プランへ戻れるサービス
会員制サービスでは、「解約=アカウント削除」とは限りません。有料プランだけを終了して無料プランへ移行し、アカウントや一部データを残す仕組みもあります。この場合、ダウングレードの効力発生日、利用できなくなる機能、保存容量を超えるデータの扱いなどを整理します。
アップグレード・ダウングレードの反映時期
プラン変更を申し込んだ瞬間に新プランへ切り替えるのか、次回更新日から変更するのかによって、料金計算や利用可能機能が変わります。日割り・差額請求・返金の有無についても、実際の決済システムと規約を一致させる必要があります。
決済に失敗した場合
クレジットカードの期限切れ、利用限度額、決済サービス側のエラー等により料金を回収できないことがあります。その場合、直ちに契約を終了するのか、一定期間の支払猶予を設けるのか、一時的に有料機能を停止するのかなどを決めておきます。
無料体験から有料契約へ移行する場合
無料体験終了後に自動的に有料契約へ移行する仕組みでは、無料期間、課金開始時期、料金、解約方法などをユーザーが理解できるようにすることが重要です。利用規約だけでなく、申込画面や料金表示との整合も確認します。
たとえば無料会員と有料会員があるサービスなら、有料プランをやめても無料会員としてアカウントを残せます。この場合、「月額料金の支払いをやめる手続き」と「サービスそのものから退会する手続き」は別です。画面上で別の操作なら、規約上も区別して書く方が分かりやすくなります。
退会・アカウント削除
本ページでは便宜上「退会」という言葉を使用することがありますが、前述したとおり、利用者をどのように定義するかによって、「ユーザー登録の削除」「アカウント削除」「利用契約の解約」などの表現を使用する場合があります。
また、これらは同じ意味とは限りません。
| 処理 | 意味 |
|---|---|
| 退会 | ユーザー自身の意思で会員としての利用を終了すること |
| 解約 | 有料契約や継続契約を終了すること |
| アカウント削除 | サービス上のアカウントを削除すること |
| データ削除 | ユーザーが保存・送信したデータ等を削除すること |
たとえば、有料プランを解約した後も無料ユーザーとしてアカウントを残すサービスもあれば、退会手続きと同時にアカウント自体を削除するサービスもあります。
契約終了後にユーザーデータを直ちに削除するのか、一定期間保存した後に削除するのかについても、サービス仕様と合わせて整理します。
退会後のデータ・投稿・ポイント等の処理
退会条項では「退会できます」とだけ定めるのではなく、退会すると何が失われ、何が残るのかまで確認します。
- アカウントは直ちに削除されるか
- ユーザーが保存したデータはいつ削除されるか
- 投稿・レビュー・コメントは退会後も表示されるか
- 未使用ポイント・クーポン・会員特典は失効するか
- 購入履歴・取引履歴等を一定期間保持するか
- 再登録した場合に以前の情報を引き継げるか
- 未払い料金や退会前に生じた義務は退会後も残るか
特にユーザー投稿型サービスでは、退会したユーザーの投稿まで自動的に消えるのか、投稿は残して表示名だけ変更するのかなど、サービス運営上の仕様を確認しておく必要があります。
退会は利用契約を終える手続きですが、それだけで投稿・購入履歴・請求情報・保存データなどがすべて同時に消えるとは限りません。実際にシステムが何を削除し、何を残すのかを確認して、その内容と規約・プライバシーポリシーを合わせます。
退会方法とUI・システム設計の注意点
退会については、利用規約上「いつ、どのような効果が生じるか」を定めるだけでなく、ユーザーが実際にどのような操作・手続きによって退会できるのかまで、Webサイトやアプリの仕様と整合させて考える必要があります。
退会フォーム・メールなど退会方法を決める
利用規約で「ユーザーはいつでも退会できます」と定めるだけではなく、実際にどのような方法で退会手続きを行うのかも整理しておくことが重要です。
会員制サービスの退会方法としては、たとえば次のような方法があります。
- マイページやアカウント設定画面から退会手続きを行う
- 専用の退会申請フォームから申請する
- 問い合わせフォームから退会を申し出る
- 登録メールアドレスから運営者へ退会の旨を通知する
- アプリ内の「アカウント削除」機能から手続きを行う
利用規約に「退会できます」と書いてあっても、実際のWebサイトやアプリのどこから退会すればよいのか分からなければ、利用者は手続きを進めることができません。
そのため、利用規約に書かれている退会方法と、実際のサービス画面・問い合わせ方法を一致させることが大切です。
また、退会申請を受け付けた時点ですぐに契約が終了するのか、運営者が退会処理を完了した時点で終了するのか、有料プランの場合には現在の契約期間満了時に終了するのかについても、サービスの仕組みに合わせて整理します。
退会方法だけでなく「退会までの導線」にも注意する
退会フォームやアカウント削除機能を用意していても、それがユーザーにとって著しく見つけにくい場所に設置されているなど、実質的に退会しにくい仕組みになっていないかにも注意が必要です。
たとえば、会員登録はトップページから数回の操作で完了できるにもかかわらず、退会については何階層もページを移動しなければ退会フォームへたどり着けない、退会ページへのリンクが極端に分かりにくい、退会手続きの途中で不必要な操作を何度も要求するといった設計が考えられます。
こうした、退会・解約を不必要に困難にするような設計は避けるべきです。 退会方法を形式上用意しているだけではなく、ユーザーが退会・解約の方法を容易に確認でき、合理的な手順で手続きを完了できるように設計する必要があります。
「退会フォーム自体は用意してあります」というだけでは十分とは限りません。
退会フォームが非常に見つけにくかったり、退会するために何ページも探し回らなければならなかったりすれば、形式上は退会できても、実質的には退会を妨げていると評価される可能性があります。
特に有料会員や継続課金型のサービスでは、ユーザーが退会・解約できなければ料金の支払いが継続することもあります。そのため、退会・解約を意図的に困難にするような画面設計や導線については、サービスの内容や契約の仕組みによって、消費者保護に関する法令等との関係で問題となる可能性も考慮する必要があります。
利用規約に「ユーザーは所定の方法によりいつでも退会できます」と定めていても、実際のWebサイトやアプリでその手続きを著しく困難にしていれば、規約の記載とサービスの実態が一致しているとはいえません。
退会条項を作成するときには、規約の文章だけでなく、退会ボタン・退会フォームの場所、必要な操作、本人確認方法、退会完了までの画面遷移なども確認することが重要です。
外部アカウント・外部決済では「退会」と別の手続きが必要なことがある
Google、Appleその他の外部アカウントを利用してログインするサービスでは、外部アカウントとの連携解除と、サービス自体からの退会・アカウント削除が別の処理になっている場合があります。
また、App Store・Google Playその他の外部決済を利用して継続課金を行っている場合には、サービス上の退会・アカウント削除と、有料契約の解約が同じ手続きとは限りません。
外部アカウントとの連携解除、サービスからの退会、有料プランの解約、アカウント削除は、それぞれ別の処理となる場合があります。利用規約では、実際の認証方法・システム・決済方法を確認したうえで、それぞれの手続きと効果を整理する必要があります。
アプリでは「アカウント削除のUI」がストア審査にも関係する
スマートフォンアプリの場合には、退会・アカウント削除の方法は、利用規約上の問題だけではありません。App StoreやGoogle Playのポリシーとの関係でも重要なポイントになります。
アカウントを作成できるアプリでは、ストアのルールによって、アプリ内からアカウント削除の手続きを開始できる仕組みや、アカウントと関連データの削除をリクエストできる導線等が求められる場合があります。
Webサービスでは、サービスの仕組みによって「退会したい場合は運営者へメールしてください」といった方法を採ることも考えられます。
一方、アプリでは、利用規約に退会方法を書いているだけでは足りず、実際のアプリ画面にアカウント削除へ進めるUIを用意することがストアポリシー上必要となる場合があります。
アカウント型のアプリでは、ログアウトは通常その端末におけるログイン状態を解除する操作、アンインストールは端末からアプリを削除する操作にすぎません。
そのため、ログアウトしたりアプリをアンインストールしたりしただけでは、通常、サービスからの退会やサーバー上のアカウント削除にはなりません。 再度アプリをインストールして同じアカウントでログインすれば、以前のアカウントをそのまま利用できるサービスもあります。
また、継続課金がある場合には、アプリをアンインストールしただけでサブスクリプション契約まで当然に終了するとは限らないため、それぞれの手続きの違いをユーザーが誤解しないように整理することが重要です。
そのためアプリの利用規約を作成するときには、「ユーザーは所定の方法により退会できます」といった条文だけを確認するのではなく、実際のアプリ内にアカウント削除機能や削除手続きへの導線が実装されているかも確認することが重要です。
さらに、アカウント削除によって何が削除されるのか、投稿・保存データ・購入履歴等はどうなるのか、法令上その他の理由により一定のデータを保存する必要があるのかなどについて、利用規約、プライバシーポリシー、実際のシステム処理との整合も確認します。
アプリでは、アカウント削除機能の有無やその導線がストア審査・ストアポリシーにも密接に関係します。利用規約、プライバシーポリシー、アプリ内のUI、実際のデータ削除処理を一体として確認することが重要です。
アプリ特有の利用規約・ストア審査との関係については、 アプリ利用規約完全ガイド もあわせてご覧ください。
強制退会・利用停止・会員資格の取消し
ユーザー自身が行う退会とは別に、規約違反等があった場合に運営者側から利用を制限する仕組みも必要になります。
利用者を「会員」と定義する規約では「強制退会」「会員資格の取消し」等と表現できますが、「登録ユーザー」と定義する場合には「ユーザー登録の強制削除」「利用資格の取消し」等と表現することもできます。
対応方法も、必ずしも即座に契約を終了させる方法だけではありません。
サービスの性質や違反の程度によって、段階的な措置を取れるように設計する方法があります。
アカウントの譲渡・貸与・第三者利用
多くの会員制サービスでは、登録した本人以外がアカウントを利用することを制限します。
しかし、BtoB SaaS等では、単純に「第三者利用禁止」と書くだけではサービスの実態に合わない場合があります。
たとえば法人が契約し、その法人に所属する役員・従業員がサービスを利用する場合、その従業員等は契約名義人とは異なります。
- 法人ユーザーに所属する役員・従業員は利用できるか
- 契約したライセンス数の範囲内で利用する仕組みか
- 業務委託先に利用させることができるか
- グループ会社による利用を認めるか
- 無関係の第三者への貸与・転売を禁止するか
など、サービスの提供形態に合わせた設計が必要です。
禁止事項はサービスごとに設計する
禁止事項というと、法令違反、権利侵害、不正アクセス等を列挙することが多いですが、それだけでは十分とは限りません。
重要なのは、そのサービスで実際に発生する可能性のある不正利用を想定することです。
- 虚偽情報による会員登録
- 複数アカウントの不正取得
- 他人へのなりすまし
- アカウントの貸与・売買
- BOTや自動化ツールの使用
- スクレイピング
- サービスやシステムの解析
- 会員限定コンテンツの無断転載
- 他のユーザーに対する迷惑行為
- サービスを利用した無断営業・勧誘
- 運営者を介さない直接取引
- 決済手段の不正利用
また、禁止事項を定めるだけでなく、違反した場合に運営者が投稿削除、機能制限、利用停止、アカウント停止、契約解除等を行えることまで整理します。
ポイント・クーポン・会員特典
ECサイト、店舗アプリ、ホテル、予約サービス等では、会員登録とあわせてポイントやクーポン、会員ランク等を提供することがあります。
- ポイントが付与される条件
- ポイントを利用できる条件
- ポイントの有効期限
- ポイントの譲渡・換金の可否
- 返品・キャンセル時のポイント処理
- 会員資格喪失時のポイント処理
- 会員ランクの決定方法
- クーポンの利用条件
- ポイント・特典制度の変更・終了
また、利用者がお金を支払って取得するポイント等については、無料で付与されるポイントとは別の法的検討が必要になる場合があります。
ポイント、コイン、チケット、クレジット等の名称にかかわらず、実際にどのような方法で発行され、どのように使用できるのかを確認して規約を設計します。
会員への通知・登録情報の変更
会員制サービスでは、サービス開始後も料金変更、規約変更、メンテナンス、利用停止、契約更新、サービス終了等についてユーザーに通知する必要が生じます。
通知方法としては、
- 登録メールアドレスへの電子メール
- サービス内のお知らせ
- Webサイトへの掲載
- アプリ内通知
などが考えられます。
そして通知制度とセットで重要なのが、ユーザーが登録情報を正確かつ最新の状態に保つことです。
ユーザーがメールアドレスを変更したにもかかわらず登録情報を更新していなければ、運営者からの重要な通知が届かない可能性があります。
そのため、通知方法と登録情報変更義務は相互に関係する条項として設計します。
会員規約を変更するときの注意点
サービスは開始後も変化します。機能追加、料金変更、プラン変更、外部サービスとの連携、法令やサービス環境の変化等によって、利用規約を変更する必要が生じることがあります。
しかし、規約に「運営者はいつでも自由に変更できる」と書いておけば、どのような変更でも当然に有効になるというものではありません。
利用規約が民法上の定型約款に該当する場合には、定型約款の変更に関するルールとの整合も考える必要があります。
- どのような場合に規約を変更するのか
- 変更内容がユーザーに与える影響
- どの方法で変更内容を周知するのか
- 変更後の規約がいつ効力を生じるのか
- 重要な変更の場合に個別通知を行うか
利用規約の変更について詳しくは、 利用規約の変更・改定手順と民法の注意点 もあわせてご覧ください。
利用規約を変更する際の要件やユーザーへの周知方法については、利用規約の変更・改定で詳しく解説しています。
利用規約・個別規約・料金ページの役割分担
サービスが複雑になると、一つの利用規約だけですべての条件を説明するのが難しくなります。そこで、共通の利用条件を利用規約に置き、特定機能やプランだけに適用される条件を個別規約・ガイドライン・料金ページ等に分ける方法があります。
| 文書・ページ | 主に定める内容の例 |
|---|---|
| 利用規約・会員規約 | 登録、アカウント、禁止事項、利用停止、契約終了などサービス全体の基本条件 |
| 個別規約・特則 | 特定機能、特定プラン、特定ユーザー類型だけに適用する条件 |
| 料金・プランページ | 料金額、機能、利用上限、プランごとの差異など変更頻度の高い情報 |
| ガイドライン | 投稿ルール、コミュニティルール、運用上の具体的な行動基準等 |
複数の文書を使う場合は、それぞれが契約内容のどの部分を構成するのか、内容が矛盾した場合にどの文書を優先するのかを整理しておくことが重要です。
毎月のようにプラン内容を改善するサービスで、機能一覧や料金額をすべて利用規約本文に書くと、変更のたびに規約本文まで修正することになります。基本ルールは利用規約、具体的な料金や機能は料金ページ、というように役割を分ける方法があります。ただし、どのページが契約条件になるのか分かるように設計する必要があります。
サービス終了時に決めておくこと
会員制サービスは長期間継続することを前提に設計されることが多い一方、事業上・技術上の理由等からサービスの全部または一部を終了する可能性もあります。そのため、サービス終了についても規約上の検討事項になります。
- どのような場合にサービスを終了できるようにするか
- 終了をどの程度前に、どの方法で通知するか
- 契約期間途中の有料ユーザーをどう扱うか
- 未使用ポイント・クーポン等をどう扱うか
- ユーザーが保存データを取得できる期間を設けるか
- 終了後にアカウント・ユーザーデータをどう処理するか
特に有料サービスやユーザーデータを保存するサービスでは、「サービスを終了できる」と一文置くだけではなく、終了時に実際に必要となる処理まで想定しておくと、規約と運用のズレを減らしやすくなります。
個人情報とプライバシーポリシー
会員登録型サービスでは、氏名、メールアドレス、住所、電話番号、生年月日、会社名、利用履歴、決済関連情報、端末情報等、さまざまな情報を取得することがあります。
利用規約とプライバシーポリシーは、役割が異なります。
| 利用規約・会員規約 | プライバシーポリシー |
|---|---|
| サービス利用上の契約条件 | 個人情報・ユーザーデータ等の取扱方針 |
| 会員登録・利用資格 | 取得する情報 |
| 料金・契約期間 | 利用目的 |
| 禁止事項・利用停止 | 第三者提供・委託等 |
| 退会・契約終了 | 保存・安全管理等 |
「利用規約に個人情報の条項を書いたからプライバシーポリシーは不要」というものではなく、サービスで実際に取得する情報や利用方法に合わせて両者を整理する必要があります。
プライバシーポリシーに記載する内容や、個人情報・ユーザーデータ、外部送信規律などの整理については、プライバシーポリシー作成ガイドで詳しく解説しています。
利用規約を英訳する場合の注意点
会員制サイトやWebサービスを海外のユーザーにも提供する場合には、利用規約の英訳が必要になることがあります。
その際、日本語の利用規約で使用している用語を、そのまま一対一で英単語に置き換えればよいとは限りません。
日本語の「アカウント」は一つの意味とは限らない
その代表例の一つが「アカウント」です。
日本語では「アカウント」という言葉が、サービスへの登録によって作成されるユーザーの登録情報や利用上の単位を意味する場合と、サービスへログインするためのID・パスワード等を意味する場合の両方で使われることがあります。
英文の利用規約を作成する場合には、これらを区別して、たとえば「Account」と「Login Credentials」のように別の用語として整理した方が明確になる場合があります。
| 概念 | 英語での表現例 | 意味 |
|---|---|---|
| ユーザーアカウント | Account | サービスへの登録によって作成され、ユーザーに紐づけられる登録・利用上の単位 |
| ログイン認証情報 | Login Credentials | ログインID、パスワード等、アカウントへアクセスするための認証情報 |
たとえば、日本語では次のように規定している条文でも、英文では「Account」と「Login Credentials」を分けて表現することがあります。
1. 本サービスの利用を希望するユーザーは、当社の定める手段に従ってアカウントを登録するものとします。
2. ユーザーは、本サービスにログインするためのログインIDおよびパスワード(以下、「ログイン認証情報」といいます。)を厳重に管理しなければなりません。
【英語】
1. Users who hope to use the Service shall register their accounts according to the methods specified by the Company.
2. Users shall carefully manage their login ID and password for using the Service (hereinafter, “login ID and password for logging into the Service” are referred to as “Login Credentials”).
この例では、日本語の「アカウント」はサービス上のユーザーアカウントとして「Account」と表現し、ログインに使用するID・パスワードについては「Login Credentials」という別の用語で定義しています。
このように整理すると、「Accountを登録・削除すること」と「Login Credentialsを管理し、第三者に使用させないこと」を別の概念として規定できます。
日本語では一つの言葉で違和感なく表現できる場合でも、英文にすると意味の違いが表面化することがあります。そのため、日本語版の各用語が規約上どの概念を指しているのかを確認したうえで、英文規約全体の定義と用語を組み立てることが重要です。
当事務所では、利用規約の英訳についても、日本語の文章を機械的に英語へ置き換えるのではなく、日本語版の規約構造、用語の定義、実際のサービス仕様との関係を確認しながら英文規約を作成します。
利用規約の英訳・ローカライズについて詳しくは、 利用規約の英訳・ローカライズ もあわせてご覧ください。
会員制サービスの種類別|関連する専門ガイド
「会員制」という仕組みは、特定の一種類のサービスだけに存在するものではありません。
会員登録・アカウント管理という共通部分に加えて、サービスの提供方法やユーザー同士の関係、課金方法、利用するプラットフォームなどに応じた論点を規約へ反映する必要があります。自社サービスに近いものから確認してください。
LINEミニアプリ・TikTok Minis等
自社の会員・ユーザー管理だけでなく、ホストプラットフォームの規約、アカウント連携、仕様変更、データや課金の関係も確認します。
ミニアプリ利用規約の解説 →利用規約全般の基本的な考え方については、 利用規約の書き方・作成ポイント もあわせてご覧ください。
会員規約作成前チェックリスト
利用規約を書く前に、まず実際のサービス仕様を整理します。
- ユーザーを「会員」「登録ユーザー」「ユーザー」等のどの名称で定義するか
- 個人・法人のどちらが登録するか
- 未成年者の利用を認めるか
- 登録時の審査・本人確認・法人確認はあるか
- 登録を拒否できる条件は何か
- 利用規約への同意をどの画面で取得するか
- 利用契約はいつ成立するか
- ログイン方法は何か
- 外部サービスアカウントを利用するか
- 一人で複数アカウントを取得できるか
- アカウントを第三者に使用させることができるか
- 法人の場合、役員・従業員・業務委託先等の利用を認めるか
- 認証情報の紛失・漏洩時にどう対応するか
- 長期間利用のないアカウントをどう扱うか
- 無料会員・有料会員の区別があるか
- 複数の料金プランがあるか
- 契約は自動更新か
- 無料体験期間はあるか
- プラン変更はいつ反映されるか
- 日割り・差額請求・返金はあるか
- 決済に失敗した場合どうするか
- ポイント・クーポン・会員ランク等があるか
- ユーザー投稿機能があるか
- ユーザー同士が交流・取引するか
- 外部サービスと連携するか
- 禁止したい不正利用は何か
- 利用停止・機能制限・強制退会等をどのように使い分けるか
- 会員への通知方法は何か
- 登録情報を変更する手続きはあるか
- 利用規約・個別規約・料金ページ等の優先関係は明確か
- 有料プランの解約とサービス退会は同じ手続きか
- 退会後にアカウントを残すか
- 契約終了後のデータをどう扱うか
- 投稿・レビュー等は退会後も残るか
- ポイント・クーポン等はいつ失効するか
- 未払い料金等の義務は退会後も残るか
- サービス自体を終了する場合の通知・データ処理等をどうするか
- 海外から利用される可能性があるか
- 英語版利用規約が必要か
この段階でサービス仕様が整理されていないと、利用規約を作成した後に「実際のシステムではそのような処理になっていない」というズレが生じることがあります。
よくある質問
Q. 会員制サイトには利用規約が必要ですか?
法律上、すべての会員制サイトについて「利用規約」という名称の文書を必ず作成しなければならないと一律に定められているわけではありません。しかし、会員登録、アカウント、料金、退会、利用停止等の条件を定める必要があるサービスでは、利用規約・会員規約を整備する実務上の必要性は高くなります。
Q. 無料会員しかいないサービスでも会員規約は必要ですか?
無料だから不要とは限りません。料金が発生しなくても、アカウント管理、禁止事項、コンテンツ利用、利用停止、退会、データの取扱い等についてユーザーとのルールを定める必要がある場合があります。
Q. 会員規約と利用規約の両方を作る必要がありますか?
必ず二つに分ける必要はありません。一つの利用規約の中に、会員登録、アカウント、料金、退会等の条件をまとめる方法もあります。複数のユーザー類型やサービスがある場合には、規約を分けるか、共通条項と特則に分けるかを検討します。
Q. SaaSでも会員規約を作ることがありますか?
名称としては「SaaS利用規約」「サービス利用規約」等とすることが一般的ですが、ユーザー登録、アカウント管理、利用資格、料金、契約期間、更新、解約等、従来の会員制サービスと共通する規約設計は多数あります。名称よりも実際のサービス構造に合わせて作成することが重要です。
Q. ID・パスワードを使っていないサービスでも会員制サービスといえますか?
ログイン方法はID・パスワードに限られません。メール認証、SMS認証、外部サービスアカウント、パスキー等によってユーザーを識別するサービスもあります。重要なのは認証方法の名称ではなく、登録ユーザーを識別・管理して継続的にサービスを提供する仕組みがあるかどうかです。
Q. 利用者を必ず「会員」と呼ぶ必要がありますか?
ありません。「登録ユーザー」「ユーザー」「利用者」等と定義することもできます。むしろWebサービスやアプリでは「会員」という表現がサービスのイメージに合わないこともあります。重要なのは、選択した呼称に合わせて「退会」「登録削除」「利用停止」等の用語を規約全体で統一することです。
Q. 運営者の判断で会員を強制退会させることはできますか?
利用規約に契約解除、利用停止、会員資格取消し等の根拠を定めておくことが重要です。ただし、どのような場合でも無制限に処分できるというものではありません。違反内容やサービスの性質に応じて、対象事由や措置を設計します。
Q. 他社の会員規約を参考にしてもよいですか?
構成や論点を確認する参考にはなりますが、そのまま流用することはおすすめできません。会員登録方法、料金体系、認証方法、退会方法、ポイント、ユーザー間関係等が異なれば、必要な条項も変わります。
Q. 日本語の利用規約をそのまま英訳すればよいですか?
必ずしも一対一で置き換えられるとは限りません。たとえば日本語の「アカウント」が、ユーザーの登録上のアカウントとログインID・パスワード等の認証情報の両方を指している場合、英文では「Account」と「Login Credentials」等に分けて整理することがあります。日本語版の規約構造や用語の意味を確認したうえで英訳することが重要です。
Q. 有料プランを解約すれば自動的に退会になりますか?
サービスの仕組みによります。有料プランを解約して無料会員へ移行するサービスでは、解約後もアカウントが残ります。一方、退会と同時にすべての利用契約を終了するサービスもあります。実際の画面・決済・アカウント処理に合わせて規約を設計します。
Q. 退会したユーザーのデータはすぐ削除しなければなりませんか?
退会とデータ削除は同じ処理とは限りません。サービス仕様、保存する情報の種類、利用目的等を確認し、退会後にどの情報をどのように扱うのかを利用規約とプライバシーポリシーの双方から整理します。
Q. 料金や機能は全部利用規約に書く必要がありますか?
必ずしも利用規約本文だけにまとめる必要はありません。基本的な契約条件を利用規約に置き、具体的な料金・機能・利用上限等を料金ページやプランページに定める方法もあります。その場合は、各文書・ページの適用関係が分かるようにしておくことが重要です。
Q. 長期間使われていないアカウントを削除できますか?
休眠アカウントを停止・削除する仕組みを設ける場合には、その条件や手続き、事前通知の方法、保存データ・ポイント等の扱いをあらかじめ整理しておくことが重要です。
Webサービス・SaaS・アプリ等、サービスの仕組みに合わせた利用規約・会員規約の作成に加え、作成済みの規約やAIで作成した規約のチェック・修正にも対応します。
ページ下部の問い合わせフォームへ ↓Q 自分で作成した会員規約やAIで作成した利用規約のリーガルチェックもお願いできますか?
はい、可能です。すでに作成されている会員規約・利用規約についても、実際の会員登録、料金・プラン、決済、退会・解約、アカウント削除、データ処理等との整合性や、必要な規定の不足を確認し、必要に応じて修正をご提案しています。ご自身で作成したものや、ChatGPTなどの生成AI・テンプレートを利用して作成したものについても対応可能です。
会員制サイト・会員制サービスの利用規約作成をご検討の方へ
会員規約は、会員登録と退会について定めるだけの規約ではありません。
アカウントの管理、利用資格、料金・プラン、禁止事項、利用停止、ポイント、ユーザーデータ、規約変更など、実際のサービスの仕組みに合わせてユーザーとの関係を設計する必要があります。
DAN行政書士事務所では、Webサービス、SaaS、アプリ、マッチングサービス、プラットフォーム、EC・ポイントサービス等、ID・アカウント等によってユーザーを管理する各種サービスの利用規約・会員規約作成に全国オンラインで対応しています。

