会員制WEBサービスの会員規約の構成、フロー

 ネットビジネスにおいてユーザー個人個人に最適なサービスを提供するうえで最も効果的な方法はユーザーに会員登録(ユーザー登録)してもらう方法ではないかと思います。

その際、会員登録しているユーザーをサービスにログインするためのログインIDとパスワードで管理し、会員にはサービス利用の際にそのログインIDとパスワードを入力してもらうというのが基本的なサービスフローになるかと思います。

ここではユーザーをログインID、パスワードで管理する会員制WEBサイトやWEBサービス向けの利用規約(会員規約)を作成するうえで重要になるサービスフローを紹介したいと思います。

会員規約への同意、適用範囲

  1. 会員規約への同意
    サービスの提供に際しての大前提としてユーザーにサービスを利用させる際にそのユーザーが会員規約に同意する必要があります。ここでは①会員規約への同意の方法について、②同意した時期について、③同意がない場合の措置について、…といった事項を定めます。
    例文:「当社は、ユーザーが本サービスへの登録申込をした時点で当該ユーザーが本規約のすべての条項に同意したものとみなします。」
  2. 会員規約の適用範囲
    同意を得た会員規約がどこまでの範囲で適用されるのかを定めることも重要な事柄です。特にBtoBサービスで法人で申し込みをする場合やオンライン英会話サービスなどで子供が受講する場合など、申込者と実際のサービス利用者が異なる場合には、申し込みをした本人だけでなく、実際にサービスを利用する者に対して会員規約を順守させるようにしなければ何の意味もなくなってしまいます。
    また、サービス内で利用上のガイドラインや諸注意なども準備している場合で細かな規定などはそちらに記載しているような場合にはたとえば「本サービスの提供に際して提示するガイドライン等は、本規約を補完し、実質的に本規約の一部として構成されるものとします。」といった定め方をしておくとよいのではないでしょうか。
  3. 会員規約の変更
    会員規約を変更する際にどのような措置を経てその変更がなされるか、その変更の効力はいつ発生するかなどについて定めます。一般的にWEBサイトやWEBサービスの利用規約では「任意のタイミングで変更することができる」などと定める場合もありますが、会員制サービスの場合、会員が指定する電子メールアドレスなどに事前通知をしたうえで変更する方法と(緊急を要する場合などに限定されますが)事後の通知により変更する場合の2種類を変更方法を準備しておくとよいかと思います。また、変更後の会員規約への同意の方法にも言及する必要があります。
  4. その他
    特に海外からの利用も前提にするサービスの場合、会員規約やサービスで使用する「時間」についても定める必要があります。たとえば「23:59までに申し込みを完了しなければならない」 といったことを定める場合、どこの場所の「23:59」なのかをしっかり規定しておかなければトラブルやクレームのもととなってしまいます。

入退会のルールなど会員資格に関する規定

  1. 入会、ユーザー登録
    会員登録(ユーザー登録)する際のルールや登録拒否事由などについて定めます。たとえばマッチングサービスのサービスを提供する事業者への登録の場合には本人確認書類や資格証の写しなどの提出を義務付けたりそれに反した場合の対応などについて定めます。また、無料トライアル期間などを設定する場合には無料でサービスを利用する目的で入退会を繰り返したりすることを防ぐため一定期間時間を空けなければ再登録できないよう定めたりする工夫がしておくとよいでしょう。
  2. アカウントの設定
    会員登録したユーザーのアカウントに関する規定を定めます。最近ではログインIDに電子メールアドレスを使用したりOpenIDなど利用してFacebookやTwitterなどのアカウントを使用してサービスを利用させたりということも多くなりましたが、その場合には「自身に帰属する」電子メールアドレスやSNSアカウントを使用するよう義務付けたりしなければサービスを第三者が利用する可能性が生じてしまいます。
  3. アカウントの管理、再設定など
    通常の会員制サービスではサービスを会員以外の第三者に使用させてはならないと定める場合がほとんどですので、ユーザーが設定したアカウントを第三者に開示したりということがないよう厳重に管理する義務をユーザーに課す必要があります。その上でたとえばアカウントを失念してしまった場合や第三者に使用されていることを知った場合などの再設定の手段や第三者使用による損害の賠償などを定める形になります。
  4. 登録情報について
    サービスに住所や電子メールアドレス、電話番号などを登録する場合やマッチングサービスなどで自分の資格などを登録する場合に真実の情報を入力する義務を課したり、その登録された情報に変更があった場合に速やかに変更する義務、それを怠った場合に生じる損害の賠償義務なども定めます。特に会員制ネットショップなどの場合、変更を怠ると登録情報として登録された住所あてに商品を発送したのに届かなかった、という事態も生じる可能性があります。また、登録情報に個人情報が含まれる場合で、その個人情報の取り扱いについてプライバシーポリシーがある場合にはそのプライバシーポリシーが適用される旨も記載する必要があります。
  5. 退会(アカウントの削除)について
    サービスからの退会方法(アカウントの削除方法)について定めます。また、退会によって失うことになるサービス利用上の権利や退会時に発生する義務などについても定めます。また、サービスの運営者が退会したユーザーに関する登録情報を削除する場合には「いつをもって削除するのか」といったことも規定しておく必要があります。
  6. 会員資格の有効期間や更新について
    会員資格については無料のサービスでは無期限としているところが一般的ですが、有料で提供するサービスの場合には、月額料金の場合には1か月単位、年額払いの場合には1年単位というように有効期間を設定します。当然その有効期間が経過した場合には「退会」扱いとなります。サービスの有効期間の更新について規定する場合には更新方法やその手続きをする時期についても規定する必要があります。
  7. アカウントの利用停止や会員資格のはく奪など
    ユーザーが禁止されている行為をした場合や
    運営者からの指示に従わない場合、利用料金の支払いを期間内にしなかった場合、そのユーザーのアカウントを一時的に利用停止にしてサービスの利用をできなくしたり、悪質な場合には会員資格をはく奪したりする規定を設定する必要があります。また、その運営者による処分によって生じる効果についても規定しておく必要があります。OpenIDなどで第三者のサービスのアカウントをしてログインする場合には、当該第三者からアカウント削除の処分を受けた場合なども明記しておくとよいでしょう。

実施するサービスについて

  1. サービスの内容について
    会員規約の対象となるサービスについて概要を説明する条文があってもいいでしょう。ただし、会員規約や利用規約の役割はあくまでもそのサービスにおけるユーザーと運営者の権利義務関係を定めるものですから、その概要を説明する条文には直接拘束力が生じることはありません。ただ、サービスに(運営者の任意で)変更がある可能性があることや料金改定の方法などについての記載をしておく必要があります。
  2. サービスの利用条件等について
    サービスを利用する際の利用条件を定めます。サービス利用の際の自己責任原則について定めることはもちろんですが、そのほかにもユーザーに守ってもらわなければならない利用条件や留意してもらわなければならない注意事項などを定めます。このユーザーに守ってもらわなければならない利用条件や留意事項などはサービスごとに異なります。たとえばコンテンツ提供のサービスの場合にはそのコンテンツの利用方法や条件などを明記する必要がありますし、有料で提供されるサービスの場合には決済方法やキャンセル、返金などに関する規定、オンライン英会話サービスなどの場合には予約やキャンセル、無断欠席等に関する規定などが必要になるかと思います。
  3. 禁止事項、禁止行為について
    サービスを利用する際の禁止事項を定めます。法令に反する行為や公序良俗に反する行為の禁止、ハッキングやスパム行為の禁止、情報転載の禁止や著作権などの侵害行為の禁止など、WEBサービスを利用する際の基本的な禁止事項を定めるのはもちろんのこと、サービス独自で禁止しなければならない事柄も定めなければなりません。たとえばノウハウ提供サービスの場合にはそのコンテンツの転載禁止のみならずWEBサイトやブログ等での引用、第三者への開示も禁止する必要がありますし、SNSサービスの場合には第三者を誹謗中傷したり営業妨害(商品の悪評を流したり)を禁止する必要があります。また、マッチングサービスの場合にはエンドユーザーと登録事業者とで共謀する行為を禁止したり、オンライン英会話サービスなどでは講師へのハラスメント行為やスカウト行為も禁止する必要もあるでしょう。

通知手段や著作権、損害賠償、合意管轄などについて

  1. 通知手段
    運営者からユーザーへの通知の方法として、その通知手段や通知が何らかの理由で届かなかった場合の措置、その不達によって生じる損害についての規定などを定めます。会員制サービスの場合には電子メールアドレスや場合によっては携帯電話番号などをユーザーから収集しているケースが多いので、その電子メールアドレスや携帯電話への電子メールやプッシュ通知、メッセージ送信などで重要な通知を送信することになるかと思います。また、ユーザー個人個人にマイページを付与するような場合にはそのマイページ上で通知をする場合も多いかと思いますので、そういったサービスの実情に合わせた通知手段について規定する必要があります。
  2. 著作権、知的財産権
    サイトやサービス全体、そこに内在する画像、文章、プログラムなどの著作権や知的財産権の所在、それの使用条件などを規定します。特にSNSサービスの場合、ユーザーが投稿したコンテンツの著作権については、「運営者に譲渡するのか」それとも「ユーザーが留保したまま運営者にライセンスするのか」しっかりと規定しておく必要があります。
  3. 損害賠償
    ユーザーがサービスを利用したことで運営者や第三者に損害を与えてしまった場合、どこまで損害を賠償する責任を負うのか、逆にユーザーがサービスを利用したことにより損害を被ってしまった場合、運営者はどこまでその損害を賠償するのかについて規定しておきます。特に運営者からのユーザーに対する損害賠償について、よく「運営者はユーザーの損害につきいかなる賠償もしない」などと記載している利用規約を見かけますが、特に有料で提供されるサービスの場合にはこの「いかなる賠償もしない」「一切の責任を負わない」などの記載は「消費者契約法」という法律で無効と判断される可能性が高いので、たとえば「当該損害の原因となる商品の購入金額を限度として」とか「当該損害が発生した月分の月額利用料金額を限度として」などとできる限り賠償する金額を特定して規定するなどの工夫が必要になります。
  4. 合意管轄、準拠法
    サービスに関連してユーザーとの間で紛争や訴訟が発生してしまったときに「どこの裁判所で裁判するのか」というのはWEBサービスの場合には非常に重要な問題になってきます。また、特に海外向けにサービスを提供する場合にはどこの法律に基づいて利用規約や会員規約が解釈されるのかも重要な意味を持ちます。

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会員制サイト(IDやパスワードでユーザーを管理するWEBサイト)の規約の特徴

 ユーザーにIDやパスワードを付与する理由はさまざまなものが挙げられ、それこそサイトによって千差万別だとは思いますが、主な例としては、

  • ネットショップでポイント制を導入する場合。
  • ダウンロード販売を行う場合。
  • 掲示板・口コミ板などを管理する場合。
  • サイト上で予約等を受け付ける場合。
  • 有料のサービスを提供する場合。
  • オンライン英会話サイト・ダイエットサイトなどオンラインで指導等を行う場合。
  • 顧客に対して作業の進行状況などさまざまな情報をオンラインで提供する場合。

のようなものがあげられるかと思います。

 これらの各サービスがすべて同じ内容の規約でリスク管理できるわけがありません。

ひとつの例としてオンライン英会話サイトについて取り上げると、入会方法やサービスを提供する期間、更新の仕方、使用するソフトウェアやカリキュラム、授業料の支払い方法や、そもそも月額制にするのかポイント制にするのか、・・・・などサイトによって本当にさまざまな条件存在するはずですから、「オリジナルの会員規約」を用意することは重要なことになります。

会員規約の作成時に特に気を付けたいポイント

入退会時の取り決め

 会員制WEBサイトではどのような人に入会を認めるのか、どのような条件で認めるのか、入会する際の手順などについて定めておく必要があります。
特に国外のユーザーの利用や、法人の利用をどのように考えるか、また、未成年者の登録を認めるかなどによってはこの入会のルールをしっかりと定めておかなければならないでしょう。 

 また、会員制WEBサイトの会員には、他の利用者とは異なり、特別な「会員規約」に同意してもらったうえで入会してもらう、というのがベターな方法といえるので、会員登録等を行う画面と同画面で会員向けの規約である「会員規約」を表示し、ラジオボタンなどで同意を促したうえで登録作業を進めてもらう、とい う方法で規約に同意してもらう必要があります。

  会員がその会員制WEBサイトから退会する場合の手順や退会したのちに、たとえば一定期間、再入会を制限するような場合には、規約でのそのような記載が必要となります。
また、会員に対してポイントなどを配布しているWEBサイトなどでは、会員が退会した際にその会員が保有していたポイントについての扱いを規約で明記する必要があるでしょう。 特にそのポイントをWEBサイト内で現金に準じるものとして扱っている場合は注意が必要です。

代金の支払い方法・有効期間・更新方法

 有料制会員サイトのように入会費、会費を支払ってもらう会員制WEBサイトについては、月額制なのか、それともポイント制(サイトの有料サービスを利用する場合には事前に購入したポイントを消費する)なのかで、会員資格に有効期間を設けるのか、期間を設ける場合には更新方法、更新時の代金の支払い方法等についても明確に記しておく必要があります。

 また、代金等の支払いに関して補足すれば、たとえば入会してすぐ退会したような場合や、一ヶ月経過せずに退会した場合に、その入会日や会費はどのように処理するのかについてや、会費の支払いはいつ行うのか(毎月1日支払い・・・など)、その月の途中で退会した場合に、その月の会費の 返却は行うのか、更新方法はどのように設定するのか・・・、などについても会員規約でしっかりと定めておく必要があります。

 この会員制サイトと代金の支払いについては、「オンライン英会話サイト」や「学習塾サイト」の場合には注意が必要です。
なぜなら、オンライン英会話サイトや学習塾サイトは、代金や期間、更新の方法などの条件がそろうと、特定商取引法の「通信販売」の規制ではなく、「特定継続的役務提供」という分野の規制を受けるようになってしまうからです。
この場合には、書面交付義務書類保管義務など「通信販売」にはなかった規制を受けることになりますから、注意が必要です。

ログインIDやパスワードの管理について

 会員制WEBサイトにおいて会員が守らなければならないルールの中でもっとも重要なもののひとつとして、会員に配布されたIDやパスワードの管理義務があげられます。

 会員が会員IDやパスワードを紛失したり、それらを第三者に譲渡したり、他人に使用させたりしてしまうと、その会員が損をするだけならまだしも、WEBサイト運営者まで損をしてしまう結果になることだってあります。
ですから、IDやパスワードの管理義務、それに付随する紛失した場合の対処、それによって生じる損害等への責任の所在、第三者使用、譲渡を制限又は禁止 する際はその定め、第三者使用、譲渡によって発生した他者への損害への対応と責任の所在についても規約でしっかりと定めておいたほうがよいでしょう。

禁止行為と罰則規定

 会員制WEBサイトでは、会員が行ってはいけない行為と、その禁止行為を行った場合の罰則規定についても記載しておく必要があります。

 この禁止事項については、サイトによって何をされたら困るかという内容は異なるかと思います。 たとえばポイント制ネットショップでいえば、ポイントの第三者への譲渡や売買、複数のポイントの合算などの要求が挙げられるでしょう。

  
これらを禁止行為として箇条書きにする場合には、次のような文言も付け加えておくと予想できなかったトラブルに対しても対応できます。

一、 その他弊社が不適切と判断する行為。

 禁止行為を行った会員に対する罰則規定がなければその会員を処罰することもできません。 会員制WEBサイトにおける会員に対する罰則は、主に「会員サービスの利用停止」と「会員資格の剥奪」に分けられるかと思います。

  会員サービスの利用停止は会員資格は残したまま、WEBサイト運営者が定める期間、その会員がそのサイトの会員サービスの全部又は一部の利用を制限すると いうもの、会員資格の剥奪は、その会員の会員資格を剥奪し、その会員による会員サービス乗りようを全面的に禁止するというものです。 その会員資格を剥奪 された会員による再度の会員登録も禁止又は制限する場合にはその旨の記載も規約にて行っておく必要があります。

免責条項

 これもサイトによって異なるものではありますが、たとえば顧客に対して作業の進行状況などの重要な情報を提供するサイトの場合には、情報が漏洩してしまった場合の管理者の免責条項をしっかりと設けておく必要があるかと思います。

 ユーザーの重要な情報が漏洩してしまった場合でも、たとえばユーザーが管理者が指定する推奨環境を満たさないPCやブラウザでサービスを利用していたような場合にまで責任を負わなければならないんだとすると、相当大きなリスクを負ってしまうことになってしまうのではないでしょうか。

 このような「情報」を扱うサイトの場合には、できる限り責任を負う「情報」を制限することでリスクを減らしていくというのがひとつの有効な手段です。