SNSでユーザーの投稿した記事、画像等の著作権の所在について

 SNSを導入するサイトやサービスを運営する方からよくお問い合わせいただくのが、ユーザーの投稿の著作権をどう扱ったらよいか?という質問です。
 この問題について説明する前に、どういうことなのかということを簡単に解説してみたいと思います。

 「著作権」は、ある文章や絵画、写真、映像、音楽などを創作した場合にその創作者に生じる権利です。 これはSNSで書き込みをした場合のその書き込みの文章や画像などにも適用されます。
 SNSという場所を介してユーザーが創作活動を行った結果生じた「著作物」ということになるためです。

 SNSを介して投稿された記事やデータの著作権がその投稿を行ったユーザーに帰属するということになると、SNSサイトやSNSサービスの運営者にとってみると自身のサイトやサービス上に第三者の著作物が存在することになってしまい、そのことによっていくつかの問題が生じてくる可能性が出てきます。

 一つ目は、ユーザーによって投稿された記事や画像は他人の「著作物」ということになるため、勝手に削除したりできないという点です。
 たとえばサイト運営者の悪口を書かれていたり、第三者を誹謗中傷する文章が書かれていたり、ひどい場合だと犯罪予告がされていたような場合、その投稿を放置しておけばサイトやサービスの信用を失墜させてしまう可能性もありますが、それでも投稿者に無断で削除してしまうと他人の著作物を勝手に消滅させてしまったことになるため、著作権を侵害したことになってしまう可能性もあります。

 2つ目は、たとえばユーザーが投稿した記事をサイトの宣伝などに活用したり、他サイトや雑誌に転載したい場合などの際に、他人の著作物に該当するユーザーの投稿記事や画像などを無断で転載できないということです。

 こういった問題を解決する手段としては、ユーザーが投稿する際に自身の投稿記事や画像の著作権を譲渡してもらう方法と著作権はそのままにしてその記事や画像の使用許諾(ライセンス)をしてもらう方法の2種類があります。(どちらもサイト運営者としては「無償且つ無期限で」というのが前提になるかと思います)
 それぞれメリットとデメリットがありますのでどちらを採用するのがベターかはそれぞれの運営者や規約の作成者によって異なるのではないかと思います。

解決方法その1・著作権の譲渡

 1つめの解決方法はユーザーが記事や画像などを投稿した時点をもってその著作権を運営者に譲渡してもらう方法になります。

例文
 ユーザーは、本サービスを介して記事、画像、データ等を投稿する場合、弊社に対して、投稿の完了時点をもって、当該記事等の著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を無償且つ無期限にて譲渡するものとします。

著作権を譲渡してもらうメリット

 著作権を譲渡してもらうメリットは、記事などを削除したり二次的著作物を作成(つまり、編集加工等をした上で他の媒体に転載)したりすることが容易になるということです。
 著作権を譲渡してもらうということはイコールその記事などが自分のものになるということですから、自分のものになったものをどうしようが自由という理屈になります。(著作者人格権というものがあるため、完全に自由というわけではありませんが。著作者人格権については別の機会で書きたいと思います)

著作権を譲渡してもらう場合のデメリット

 逆に著作権を譲渡してもらう場合のデメリットは、その譲渡してもらった著作物に対して責任を負うことになるということです。
 著作権を譲渡してもらうことによりその記事や画像が自分のものになるわけですが、もしその記事に第三者の著作権を侵害する内容や誹謗中傷する内容などが含まれていた場合には、その記事なども当然自分のものとなるわけですから、その責任は運営者が負うことになってしまいます。

解決方法その2・使用許諾(ライセンス)

 2つ目の解決方法は、ユーザーが記事や画像などを投稿した時点をもってその著作物の使用許諾を与えてもらう方法になります。

例文
 ユーザーは、本サービスを介して記事、画像、データ等を投稿する場合、弊社に対して、当該投稿等を本サイト上に掲載する場合に限り、無償且つ無期限にてその使用を許諾するものとします。 ただし、ユーザーの投稿記事等を弊社が二次利用する場合は、第○条の規定を適用するものとします。

使用許諾してもらう場合のメリット

 使用許諾をしてもらう場合のメリットは、その記事等に関する責任をすべて投稿したユーザーに負わせることができるということになるかと思います。

使用許諾してもらう場合のデメリット

 使用許諾してもらう場合のデメリットは削除や二次利用の際に「勝手に」やってしまうことをどう処理するかという点になるかと思います。
 特に二次利用する際には別途二次利用に際しての使用許諾を得る必要も出てくるということになってしまいます。

デメリットは消すことができる

 著作権譲渡してもらう場合にしても、ライセンスしてもらう場合にしても、そのデメリットは規約の条文とそれへの同意という方法によって解決できると考えられます。

 著作権譲渡の場合には、「表明・保証」条項を入れてやることで解決できます。 この表明保証条項は簡単に言うと「あなたが私に譲渡する著作物には第三者の著作権を侵害する物は含まれていないですよね?もし含まれていたらあなたが全責任を負ってくださいね」ということです。 つまりこの「表明・保証」条項に同意してもらうことによって、この記事は運営者のものだけど責任はユーザーが負うということにできます。

 逆にライセンスの場合には、削除については「禁止事項違反や第三者からクレームがなされた場合には、投稿者に通知することなく削除します」といった条項によって対応し、二次利用については、「弊社がユーザーの記事等を二次利用する場合には別途無償且つ無期限にて使用許諾を与える」旨を規約で定めた上で同意してもらう、という手段で解決できます。

結局どちらの方法がいいのか?

 では結局のところ著作権譲渡と使用許諾のどちらがよいのか?という質問についてですが、私は「通常のSNS]の場合には使用許諾のほうをお勧めしています。 というのはユーザー数にもよりますが、数が増えてきて且つ匿名性が高いSNSの場合には、権利侵害や誹謗中傷などが頻発するようになってくるのはある程度仕方がないことだと思いますので、そのような権利侵害のクレームなどにいちいち対応する手間を考えると、著作権を含めて全ての責任は投稿者にあります、と言ってしまえたほうが運営者の負担やリスクは軽くなるような気がします。

 逆に著作権譲渡をお勧めする場合ももちろんあります。 今までで著作権譲渡をお勧めしたひとつの例としては、デザイナーなどがSNS(投稿機能)を使って自身のデザインした物を紹介し、そのサイト上で紹介された物を編集して雑誌などを制作・販売するというサイトです。
 そのサイトでは、著作物の使用の範囲がサイト上にとどまらずに広がってしまうことがわかっていたため、使用許諾だとどうしても窮屈になってしまう恐れがあるため、著作権を譲渡してもらうよう規約の条文を組みました。

 昨今、とある大手IT企業の社長が社員のSNSの投稿を無断で社報などに掲載して物議をかもすという件もあったとおり、サイト上に掲載された情報であっても無断で他の媒体に二次利用・・・というのは(いくら規約で定めていたとしても)難しい時代になってしまったのではないかと思われます。
 であれば、上記のような出版などを前提としていないSNSであれば、著作権を譲渡してもらう意味というのも以前ほどはないのではないかと思います。

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