マッチングサイトの規約作成時の注意点

 近年サイトに登録する事業者同士や登録する事業者とエンドユーザーとのマッチングをするサービスが増えてきました。
当事務所にもマッチングサイトの規約作成のお見積りのご依頼も実際に規約を作成される方も多くいらっしゃいます。

 マッチングサイトはその名のとおりサイトに登録する事業者とエンドユーザーとをマッチングするサービスです。
たとえば求人求職のマッチングサイトでは求人している事業者と求職しているエンドユーザーとを結びつけることを目的としていますし、フリーマーケットサイトでは物を売りたい事業者とその物を買いたいエンドユーザーとをマッチングします。

 マッチングサイトではそれぞれに見合った事業者、ユーザーを紹介するというスタンスをとっており、事業者とエンドユーザーとの間の契約や約束は「それぞれの当事者の自己責任で」という形態がほぼ100%ではないかと思います。
サービスの形態が「当事者間の自己責任で」となっているということは利用規約も当然そうなっているということです。

 実際に私が作成するマッチングサイトの利用規約でも「登録する事業者とエンドユーザーとの間の各種契約、約束等は、すべて当事者の自己責任にて行われるものとします。」という内容を定めます。
しかし、これだけでは不十分だと私は考えています。

マッチングサイト運営の際の留意点

 もう何年も前の話になりますが、ベビーシッターをマッチングするサイトに関連して殺人事件が発生したことがあります。その当時それなりに大きなニュースにもなったのでご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、その事件では犯人が「偽名で」ベビーシッターとして登録していたことが明らかになっています。
 マッチングサイトでは、サイト運営者が登録する事業者(サービスを実際にエンドユーザーに提供する者)にサイト(サービス)の信用の一部を託す形になります。それはたとえ利用規約などで「登録する事業者のサービスによって損害を受けた場合でもサイト運営者は一切責任を負いません」などと書いてあったとしてもです。なぜならエンドユーザーにとっては「そのサイトを利用して紹介された事業者のサービス」と「サイト運営者のサービス」はほぼイコールとなっているからです。

 そのようなサイトの信用の一部を託す事業者が真実の情報を提供していないとしたら、そのようなサービスは信用あるサービスだといえるでしょうか?
なので、登録する事業者、つまりエンドユーザーに対してサービスを提供する側の者に対しては特に本人確認書類や登記事項証明書、営業許可証のコピーの提示などの本人確認や事実確認を入念に行う必要があると私は考えています。

マッチングサイトの利用規約作成の際の留意点

 マッチングサイトの規約作成の際には、具体的には「登録する事業者」向けと「エンドユーザー」向けの2つ以上の規約を作成し、それぞれに以下のような条項を定めます。
※ マッチングサイトとしての最低限のものです。会員制を導入する場合やその他のサービスも絡む場合にはそれぞれに見合う条文を加えます。

エンドユーザー向け
  • 自己責任での利用の義務
  • 登録事業者のサービスを利用したことによって損害が生じた場合の免責
登録事業者向け
  • 本人確認書類の提示やそれを拒否した場合の登録拒絶
  • 登録する事項に変更が生じた場合の届け出義務
  • 真実の情報の提供義務
  • サービスの提供、問い合わせ・クレーム等への対応等を誠実にすること

 また、不誠実な対応をするような事業者や申込をしたにもかかわらず何の連絡等もせずに約束を反故にするエンドユーザーに対しては、「クレームが頻発するような場合には」利用資格をはく奪するような条文も加えておくことで、不誠実なユーザー、事業者をサービスから追い出すこともできます。
 もちろんサービスを介さずにエンドユーザーと事業者が連絡を取り合ったりして利用料金をサイトを介さずにやり取りしたり、登録する事業者に類似のサイトへの勧誘などもされても困るので、そのような行為も禁止したうえで処分規定を設定しておく必要もあります。

 マッチングサイトの規約ではもう一つ取り決めておくべき大切な点があります。
それは、エンドユーザー、登録事業者のどちらかが退会や強制退会などの処罰を受けた時のそのユーザーが締結していた契約や約束の取り扱いについてです。
それぞれのサイト運営者の考え方やサービスの形態によってさまざまな解決法があるかと思いますが、あくまでも当事者間の自己責任を謳うのであれば、退会や強制退会の場合でも当事者間ですでに成立している契約等は継続する方向で考えるというのも一つの解決方法ではないかと思います。ただ、この場合でも、たとえば強制退会の処分をした場合には、その相手方に強制退会の処罰を受けたこととその理由を告げて、そのうえで結論を相手方に出させるという手法もできるかと思います。

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