【利用規約の書き方】利用規約の文章の書き方の基本3

サイト内での運営者・ユーザーの権利・義務の定め方

 わたしはこれまでリーガルチェックサービスなどでさまざまなサイトの規約をチェックしているのですが,「チェックしてくれ」という規約の多くが,この「権利」「義務」の定め方がしっかりできていないというのが実情です。
 中には一日のアクセス数が数千・数万ある,という有名サイトの規約もありました。 

 この権利・義務に関する定めがしっかりとできていなければ,サイトの運営上非常に大きなリスクを負ってしまうことになります。
 
実際,その有名サイトでもクレームや苦情が多いとのことでしたが(アクセス数が増えるとそれはしょうがないことなのですが),残念ながらそのようなクレームや苦情に対する規約での防御というものがきちんとできていませんでした。
(そのサイトのオーナーさんはその増えてきたクレーム等への防御策として規約の見直しを考えたようです。)

権利と義務の書き方

 規約の条文で「権利」「義務」を定める前に,そもそも「権利」と「義務」とはなんぞや?というところから説明してみましょう。

 まず,権利とはそのサイト内で「できること」になります。  ですから条文では「会員は,~~することができます。」のような書き方をすることになります。

 対して,義務とはそのサイト内で「しなければならないこと」「してはならないこと」のことです。 条文では「会員は,~~しなければなりません。」とか「会員は,~~してはなりません。」のように定めることになります。

 これが権利と義務の書き方の違いです。・・・というと「なんだ,そんなの当たり前じゃん」という声も聞こえてきそうですが,条文の書き方としては違いはこれだけです。

権利と義務の違い

 しかし,権利と義務には決定的な違いがあります。 それは,「義務」には「違反した場合の罰則が伴う」ということです。
 
今までリーガルチェックをしてきた中でもっとも多いのは,この「しなければならないこと」「してはならないこと」に対する罰則規定がかけられていない,というものです。

 
もし,ご自分で規約を作成した(コピーペーストも)という方は今一度その規約を確認してみてください。
 たとえばサイト内での「禁止行為」についての定めはありますか? 罰則規定の条文はありますか?
 罰則規定に「~条(禁止事項)に違反した場合に~~する」という内容のものはありますか?

 「義務」と「罰則」はきちんと連動していなければ,それだけで大きなリスクを負ってしまうことになります。

権利と義務の定め方

 ここまで規約内での権利と義務について説明してきましたが,それらの定め方には,一定の法則というものがあります。

 それは,会員(サイトのユーザー)の行動について定める場合には,「義務」が多くなり,運営者の行動について定める場合には「権利」が多くなる,ということです。

 例として会員制サイトへの入会の場合をあげてみましょう。
 まず,会員に対しては

本サービスへの入会希望者は,申込方法等について当社からの指示等がある場合,当社からの指示等に従わなければなりません。

 次にそれに対する罰則

当社は,入会希望者が入会申込に際して当社からの指示等に従わない場合,当該希望者の入会を拒否することができます。

 権利と義務の定め方についてはこの二つで十分すぎるほど説明できているのではないでしょうか。
 要は,ユーザーにはサイト内でのルールには従ってもらわなければならないのですから「義務」として定め,たとえば罰則規定など運営者側の行為は,「(してもしなくてもいい)権利」として定める,という方法をとると,リスクの少ない規約ができあがるのではないかと思います。

規約では「定義」も大切

 リーガルチャックをしていて,よくある例の一つに,今まで使われていなかった用語が突然なんの前置きもなく出てくるということがあります。

 例を挙げると,それまではサービスを利用するユーザーのことを「会員」と書いていたはずなのに突然「甲は~」などに変わっていたり(文脈などから考えても【会員=甲】なのですが),「本サービス」「当サービス」「本契約」,・・・・など,ひとつの規約でいくつのサービスについて定めているのやら・・・・と思ってしまう例や,突然「本ソフトウェアの使用は~」と切り出されてみたり,読んでいる人間からすると,「いや,まず【本ソフトウェア】ってどれのことだ?」と思う例が本当にたくさんあります。

 まぁ,大体が・・というよりすべての例がどこかのサイトや契約書からコピーペーストしてそのまま使っているのでしょうが,はっきりいってそれではリスクはまったく消せていません。
 コピーペーストで作成するなとは言いませんが,せめて規約を最初から最後まで読んでからサイトに掲載してください,というアドバイスしか残念ながらできません。

用語の定義の仕方は2種類ある

 規約で使用される用語を定義するやり方は主に2種類あります。
 一つ目は,「用語の定義」という条文を作るやり方です。 この方法では大体規約の第1条か2条あたりで定める場合がほとんどです。

本規約において「会員」とは,当社と本サービスの利用契約を締結し本サービスを利用する者をいいます。

 大体こんな感じで定義していく場合が多いでしょうか。

 二つ目は,文章中で出てきた用語について「次からはこれは【~~】ということにしますよ」と定めるやり方です。 この場合は以下のように設定していきます。

 本規約は,株式会社○▲■(以下「当社」という)が運営する「××××」(以下「本サイト」という)において提供される各種会員向けサービス(以下「本サービス」という)をご利用いただく際の,本サービス利用者(以下「会員」という)と当社との間の一切の関係に適用されます。

 この条文の場合だと,この条文ひとつで「当社」「本サイト」「本サービス」「会員」の4つの用語の定義ができていることになります。

 私の場合は,下のやり方で定義していく場合が多いのですが,ソフトウェアの販売規約など,ちょっと特殊な用語が多い場合だと上のやり方で定めていく場合もあります。
 その辺はケースバイケースですね。

 この定義については,冒頭でも触れましたが,新たな用語が突然,何の前触れもなく出現する場合が非常に多いので,その辺は注意するように心がけてください。 たとえば入会に関する条文での「希望者は~」などがよく見かけるものですね。
「希望者は~」であれば「本サービスの利用を希望する者(以下「希望者」という)は~」と定めるようにします。 このように初回に出てくる用語はきちんと説明するようにしましょう。 

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