そもそも利用規約とは何なのか?利用規約どんな役割があるのか?絶対に設置しなければならないのか?という話をとりあげたいと思います。

利用規約はウェブサービスやウェブサイト、アプリなどに設置されます。それらのサービスの利用条件を提示する役割を持つものになります。 利用規約には2種類の役割があると私は考えています。

利用規約の役割とは?

クレーム対応時の対抗手段

1つめとして、クレームがなされた時の対抗手段という役割が利用規約にはあります。

たとえば利用規約で、「本サイトのコンテンツや外部リンクなどにウィルスなどの有害なプログラムが含まれていないことについて、保証をしない。」と記載しておきます。そうしておくことで、たとえば「このサイトのせいでウィルスに侵入された。壊れたパソコンを弁償しろ。」といったクレームを遮断できます。

もちろん運営者がわざとウィルスを仕込んでいたような場合には、その条文は法令などにより無効になります。特に情報提供を目的とするサイトでは、そのサイトの閲覧者に対して著作権所在や情報転載の禁止、保証否認の範囲などを利用規約で提示することで、それらに関するクレームなどを予防する効果が期待できます。

閲覧者に対してたとえばポップアップなどで同意を求めることは現実的ではありません。この場合の利用規約はあくまでもクレームの抗弁という位置づけの役割となります。(詳しくは「利用規約に同意してもらうには?」のページで説明します。)

契約書と同様の役割

利用規約の2つめの役割は、そのサービスの利用契約や販売する商品の売買契約などの契約条件としての役割です。

たとえばネットショップの場合には商品の購入者、会員制サービスであれば会員など、そのサービスをより深い関係で利用する利用者に対して、そのサービスでの権利義務関係や罰則などの「契約条件」を提示するために利用規約を活用するという形になります。

この場合には契約書と同様の使い方になります。ので、利用者に提示してその契約条件に「同意してもらう。」というプロセスが重要になります。(これも「利用規約に同意してもらうには?」で詳しく説明します。)

利用規約と契約書の違い

次に利用規約と契約書の違いについて説明したいと思います。

利用規約も契約書も「当事者同士が同意した内容を書面にしたもの。」という扱いになります。ウェブサービスでは運営者と利用者が当事者になるケースが多いと思います。

契約書の特徴

契約書は通常当事者全員が合意内容を記名押印し、各1通を保持する形で作成されます。

この契約書で締結されるサービスの利用契約では、運営者がサービスの利用契約書案を提示し、それを他の当事者が交渉したりするケースが多いと思います。契約書の内容も各当事者の事情等に合わせて千差万別になるケースがほとんどです。

利用規約の特徴

他方、利用規約で締結される場合は、運営者が大勢の利用希望者に対して利用規約を提示し、サービスの利用希望者がその利用規約に「同意したうえでサービスの利用申し込みをする。」、運営者が「その申し込みを承諾する。」ことによって成立します。

サービスの運営者側のメリットとしては、利用者ごとの交渉がほとんど行われないため、どの利用者に対しても画一的なサービス提供となります。そのため、「この利用者との契約内容はどうだっけ?」などと悩む必要が大幅に縮小されます。

また、利用規約で締結されるサービスは、ほとんどすべての利用者が同一の内容で契約して利用している可能性が高いことが利用者側からも予想しやすくなります。

これにより、たとえば掲示板サービスやチャットサービス、オンライン会議サービスなどで不適切な発言や画像の投稿があった場合に、ほかの利用者が「あれ?この投稿違反行為じゃない?」などと気づいてくれて、運営者に通報してもらう可能性が高くなります。

そのため、そういった違反行為に即時に対応できる可能性があるなどの利点があります。

利用規約の内容についての条件交渉?

通常は画一的な利用規約の内容について個別に条件交渉が行われるケースもあり得ます。

私が利用規約作成業務の中で経験してきたのは、

  1. 個人ユーザー向けの有料情報データベースサービスを大学として契約して学内の学生や教授たちに利用させるケース。
  2. 個人向けの投資ノウハウ提供サービスを節税対策で立ち上げた法人名義で利用するケース。
  3. 法人向けのサービスで利用台数や利用アカウント数などをカスタマイズして料金提示するケース。

などがありました。

3.のケースは利用規約と同意だけで完結させる事業者の利用規約作成もしたことがあります。

なので、利用規約だけで完結させるか、それとも利用規約+契約書でいくのかはそれぞれの事業者の考え方次第の部分も多いかと思います。

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