利用規約の作成やチェックを専門家に依頼する場合に注意すること

 ここでは利用規約の作成やチェックを私たち行政書士や弁護士に依頼する場合の注意点をいくつかご紹介したいと思います。

インターネットに詳しいこと

 利用規約書き方講座のを通して読まれた方はこの「インターネットに詳しいこと」とすぐ下の「関連法令に詳しいこと」はすでに書かれていたことを覚えていらっしゃるかと思います。

 自分で作成する場合と同様で行政書士や弁護士もインターネットに詳しい専門家、特にインターネットの取引などでどんなことが起こるのか、どんな権利義務が発生しているのかなどをしっかりと把握できる専門家である必要があるかと思います。

 でなければ作成される利用規約もインターネット特有のリスクに対応できない可能性があります。

消費者契約法や特定商取引法など、関連する法令に詳しいこと

 BtoCのビジネスモデルの場合、消費者契約法という法律は必ず勉強していなければならない法律です。

 また、インターネットを介してサービスを提供する場合や商品を販売する場合には、特定商取引法に定める「通信販売」に該当する場合がほとんどです。

 さらに、たとえばオンライン語学学習サイトの場合には特定商取引法に定める「特定継続的役務提供」に、内職ビジネスのあっせんサイトなどの場合には同じく特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」にそれぞれ該当する可能性があるなど、サービス形態によって適用される法律が変わる可能性もあります。

 また、事前購入ポイント制を導入する場合には条件を満たすと「前払式支払手段発行者」という届出が必要になる場合があり、予約フォームなどを含むASPの販売をする場合には「電気通信事業者」という届出をしなければならない場合もあります。

 このようにインターネットビジネスに関連する法律は多岐にわたり、且つ法改正や新規の法律が制定されることもしばしばありますので、関連する法令などに詳しい専門家を選ぶ必要があるかと思います。

専門家のサイトの利用規約やプライバシーポリシーを読んでみること

 利用規約作成の専門家であれば当然にWEBサイト利用規約やプライバシーポリシーをしっかりと準備しているはずですから、そこに書いてある内容を読んでみてください。

 日本語がしっかりとしているか、読みやすい文章か、著しくユーザーに不利な条項などを押し付ける形でないか、などをチェックしてみてください。

契約書の作成やチェック業務をしっかりとできること

 契約書などの法務文書の作成は行政書士や弁護士の専業ですから、その一種である利用規約の作成は行政書士や弁護士ならだれでもいいから任せておけば完璧なものを納品してくれる、と思うかもしれませんが、利用規約や契約書のチェック業務をしているとそうでもない場合も稀に見かけます。

 (私が行政書士ということもあり少し内情がわかる部分もあるためピックアップしますが)特に行政書士の場合、普段許認可などが専業であまり契約書の作成やチェックの経験が少ない行政書士も中にはいますし、行政書士の場合、制度上裁判に直接かかわることができないため、作成した契約書の条文がどのように証拠として採用されるのか、どのような条文がクレームの対象となるのかなどの裁判の上での実務に乏しいため、契約書の効力として未熟なものを作成してしまう傾向も一部の行政書士にはあります。

 弁護士の場合には当然裁判などでの実務はたくさんあるかと思いますが、はたして弁護士が契約書などを本当に作成しているのか、と疑いたくなるようなものも稀にあることも残念ながら事実です。

お見積もりでしっかりと必要な条文や追加料金の有無などについて説明すること

 ではどうやって上記のようなインターネットに詳しい、関連する法令にも詳しい、経験豊富な専門家はどのように見つければいいでしょうか?

 それは契約書や利用規約の作成やチェックについて、「こういうことが懸念されます」という内容などを記載したうえで作成代金などの見積もりを依頼してみることです。

 その見積もり依頼に対してどのような回答をしてくるかによってその専門家の経験や致死くだけでなく、どれくらいの本気度なのか、親切なのかなどいろいろなことがわかるかと思います。

 経験豊富な専門家であればその懸念事項について回答したうえで、料金を詳細に教えてくれるはずですし、追加料金などの可能性などについても教えてくれるはずです。

 料金の安さだけで選んでしまうと、経験がない専門家を選んでしまう可能性もあります。ただ、経験のない専門家が粗悪だというのではありません。

 私が初めて利用規約作成の仕事をしたときも、経験がないため安請負をしてしまいました。今の当事務所の見積もりだと10数万円程度の利用規約を数万円の作成料金で請け負ってしまったのです。

 その際、私は勉強代と思って10数万円分の仕事をしましたが、専門家全員が必ずしも同じ対応をしてくれるとは限りません。そういう初心者を選んでしまうとお互いにとって不幸な結果が待っている可能性もあります。

  見積もりを取ってそこに書かれている回答内容を見ればある程度専門家の人格もわかるかと思います。
 できれば(経験の有無にかかわらず)誠意のある専門家に依頼されることをお勧めします。経験のない専門家でも一生懸命勉強したり調査してくれるのであれば(料金にもよるかと思いますが)依頼する価値がはあるのではないかと思います。

 逆に経験豊富でも説明が足りない場合や自分の質問への回答を満足にしてくれていないような場合には「経験豊富だから」という理由だけで依頼するメリットはないのではないかと自戒の意味も込めて思います。

 見積もりについては、かくいう私もいまだに金額の見積もりが甘かったことも稀にあります(「ほとんどが」というより「全部が」自分が損をする形ですが)。
 私はそのようなケースでも、「お客さんに損をさせない、自分が損をする分には将来似た様な内容のサービスの利用規約作成で取り戻せる」というスタンスでこの利用規約作成業務をしています。

このページの先頭へ